ネオニコチノイドの成分が子供の尿から出てきた話を解説します
感情論なしで理論で解説します!
こんなニュースが最近出ていましたね。「多数の小学生の尿から複数の殺虫剤成分が検出、農薬の蔓延ぶりを反映」とのことです。
主には、ネオニコチノイド系らしいですね。
ネオニコチノイド系農薬は、1990年代初頭に開発された新しいクラスの殺虫剤で、ニコチンに似た化学構造を持ちます。これらは、害虫の神経系に作用して麻痺させ死に至らせることで効果を発揮します。しかし、ミツバチを含む受粉昆虫に対する潜在的な影響が懸念されています。では、子供の尿からネオニコチノイドが検出されたことはどのような意味があるのだろうか。
人体は、「代謝」というプロセスを通じて摂取した物質を分解・変換して最終的には排出します。この自然なプロセスは、体内に入った外来物質を無害化し、排出するために重要です。つまり、尿から出てきたことは問題ないことです。子供たちは成長と発達の過程にあり化学物質に対してより敏感でもあります。
なぜ、「問題ない!」や「安全だ」と言い切れるのか。
農薬の使用には、その安全性を確保するための基準が設けられています。これらの基準は、人間や環境への影響を最小限に抑えるために重要です。基準を守れば、農薬は安全に使用できますが、基準を守らないと安全性は保証されません。この原則は、お酒の飲み過ぎやスパイシーな食べ物の摂取など、日常生活のあらゆる面に当てはまります。適量ならば問題ないが、過剰な摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、農薬は、親動物(雌雄)から孫の代までの影響を調査する繁殖毒性試験や催奇形性を確認する発生毒性試験を含む種々の毒性試験を実施しています。胎児を含めてヒトに影響が出ない基準量である許容一日摂取量(ADI:ヒトが一生涯毎日摂取しても影響がでない量)や急性参照用量(ARfD:短期間に多量に摂取しても影響の出ない量)が設定されています。
そして、それらの基準量を上回ることのないように定められた使用量や方法で使用されます。従って、たとえ残留農薬やその分解物が尿から検出されたとしても、ヒトに健康被害が発生する可能性は非常に低いと考えられます。その上、分析技術の進歩から極めて低い濃度の化学物質の検出が可能となっており、ヒトを含め動物の体組織や尿等にごく微量の農薬やその代謝物が検出されることがあるのです。つまり、農薬が適切に使用されている場合、人体に残留する農薬やその代謝物の量は、健康に害を及ぼすレベルではないと考えられます。
分析技術の進歩により、今日では非常に微量の化学物質を検出することが可能になりました。これは、私たちの身の回りに存在するさまざまな物質について、以前には不可能だった詳細な情報を提供します。特に、農薬やその代謝物が人間や動物の体内、例えば組織や尿などから検出されるケースがありますが、これは必ずしも健康への直接的なリスクを意味するわけではありません。
まとめ。
農薬の使用と人体への影響についての議論は、しばしば不安や懸念を引き起こします。しかし、科学的に設定された安全基準と厳格な使用規制を理解することで、これらの化学物質が実際には私たちの健康に与えるリスクが非常に低いことがわかります。分析技術の進歩は、私たちがより安全な環境で生活できるようにするための一助となります。
もしかしたら、上記に記したニュースで「ミツバチ🐝」についても気になる方がいたかもしれません。次回、「農薬と生物多様性」についてお話ししますね!
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